前回の記事から時間が空いてしまったが、このシリーズの最終回(たぶん)として、個人の経営コンサルタントのビジネスモデルについてまとめてみたい。

1.経営コンサルタントの種類

経営コンサルタントと聞くと、マッキンゼーやボストンコンサルティングなどの国際的なコンサルティングファームを思い浮かべる人が多いだろう。 彼らは、事業戦略や組織戦略などを得意としている。他にもアクセンチュアなど業務システムを得意としているグローバルファームもある。日本でいえば、三菱総研や野村総研などが、事業戦略や業務システムを手掛けている。彼らはシンクタンク系の色合いが強く、政府や自治体の行政改革にもかかわっている。そして、個人の経営コンサルタントは数えきれないほどいる。

個人でコンサルタントをやる場合は大きく2つのタイプに分けられる。パブリックモデルとプライベートモデルだ。

パブリックモデルは、知名度やブランド力を持つ個人が、それを基に多くのプロジェクトやビジネスを展開する。この分野で最も成功した日本人は大前研一だろう。最近で言えば落合陽一か。これになるには特異な才能が必要である。そして継続するには、有名になってもさらに上を目指すという権力欲も必要だ。誰にでもなれるものではない。パブリックモデルでは収入の限界はない。ブランド力が上がれば収入は10億円でも100億円でも可能だ。

プライベートモデルは、自分の得意分野で顧客の要望を基に調査・分析・提案・指導などのサービスを提供する。強い達成動機をもっていて、多少のセンスがあって努力を惜しまない人であれば、だれにでもできる可能性がある。プライベートモデルでの売上は、一人5000万円が限界だろう。日本国内の場合は、3000万円売り上げれば”成功”と言っていいのではないだろうか。

2.経営コンサルタントのビジネスモデル

プライベートモデルを目指す

個人の経営コンサルタントには、パブリックモデルとプライベートモデルがあると述べた。普通に会社員をやっていて(もちろんプロフェッショナルな知識や技能や人脈を持っている人が)脱サラをして独立するケースで、いきなりテレビで有名になってパブリックモデルを実行できることはないので、みなさんが独立して経営コンサルタントをやる場合はプライベートモデルを目指すことになる。

プライベートモデルとは、個人で顧客の要望を基に調査・分析・提案・指導などのサービスを提供する。経営コンサルタントに資格は必要ないので、だれでも始められるし、実際に世の中にごまんといる。

日本では“コンサルティング契約”というのはなじまないようで、多くの場合は“業務委託契約”を結んで委託される業務内容と報酬額を決める。

ビジネスモデル

コンサルティングの形態は大きく2つある。プロジェクト型と顧問型だ。プロジェクト型は特定の目的で限られた期間の業務委託を受ける。目的が明確で、目的達成の成否も明確であり、報酬も決めやすい。しかし、プロジェクトの期間が終了すれば契約は終わるので、常に次のプロジェクトを探し続けなければならない。

顧問型は、特定の分野や業務に対して継続的にサービスを提供するもので、半年とか1年の契約をして、それを更新していく形になる。半永久的に継続できる可能性もあるが、クライアントが期待する成果を出せない場合は契約の更新はない。つまり、クライアントの期待を上回るサービスを提供し続けなければならない。

報酬のモデル

コンサルタントが受け取る報酬の形態には、成功報酬とリテーナー(定額顧問料)がある。成功報酬は、文字通り成功した場合に、あらかじめ決めた報酬を受け取る。もちろんベースの報酬と成功報酬を組み合わせることもできるし、コンサルタントの立場からすればその方が安全だ。

リテーナーとは、毎月定額の報酬を決めて、その金額に見合うサービスを継続的に提供する。ただこの場合、定量的な達成目標を設定しにくい場合が多く、クライアントが満足してくれるライン(サービスの量や質)を、コンサルタント側が想定しながら実施することになる。逆に言えば、どこまでやってもゴールがない状態で仕事をするということだ。

今回は個人で営む経営コンサルタントのビジネスモデルについて解説した。こうして文章にしてまとめると理解できた感じになるが、実際はもっと複雑でケースごとに事情が違う。自分の目指すビジネスをイメージして、ケースごとのシミュレーションを何度も繰り返すことが重要だ。