今回は、個人事業主でコンサルタントを始めるときに準備すべきモノを上げてみる。こうやって書き出すと以外に多い。

ビジネスプラン

小さなビジネスを一人で始める場合、できるだけ自己資金のみで開業したいと思う。ビジネスプランを作る最大の目的は金を借りる(あるいは投資を募って資金を集める)ために、出資者に説明することだ。自己資金で開業できるのなら、ビジネスプランは作らなくてよい。

しかし、ビジネスプランを作ることには他にも多くのメリットがある。たとえ金を借りなくても、銀行口座を作ったり、事業に協力してくれるパートナーを得るために説明が必要な場面がある。そしてなにより、文字に書いてまとめることで、自分の考えをまとめることができる。

Webサイト

Webサイトは必要だ。ツイターやインスタだけでは不十分だ。名刺をもらったり誰かに紹介されたとき、人はまずWebサイトを見る。そしてWebサイトの印象でその会社を判断する。

ただし、Webサイトを作ったからといって、そこから注文や問い合わせが来ることはないので、それを期待してはいけない。あくまでも、名刺代わりの情報提供の場だと思った方が良い。

事業案内・PR資料

事業内容の説明資料は事前に用意しておく必要がある。事業内容は、自分が何を提供できるのかを簡潔に説明できるようにしておく。顧客がコンサルタントに求める内容は大きく3つある。

  • 作業の代行
  • 知識やノウハウの提供
  • 仕組み作り

自分が提供するのはどれで、その具体的内容は何かを文章にまとめておく。

次にPR資料だ。Webサイトやパンフレットに記載すべき点は次の5つだ。

  • サービスの内容
  • 自分が最適である理由
  • 自分を雇うべき理由(複数)
  • 簡単な経歴
  • 自分のもつ他の顧客について

標準報酬額

顧客にとっても自分にとっても最も重要なのが金額だ。コンサルタントの報酬額も需要と供給のバランスで決まる。世の中に広く存在するサービスであれば、標準的な金額を調べて、それを基に考えることができる。しかし、経営コンサルタントの金額は公表されないのでわかりにくい。実績もなく自分で自信もない状況であれば、なおさら金額を決めにくい。

それでも、顧客と契約交渉をするためには金額を提示しなければならないので、自分の標準の報酬額を決めておく必要がある。標準報酬額を設定するためには、報酬のモデルを理解する必要があるが、それは別の回の記事で紹介する。

契約書

こちらが顧客に求める契約の形態をあらかじめ決めておいて、必要に応じて契約の文面を提示できるように用意しておく。契約の形態はサービスのモデルや相手の希望によって使い分ける必要がある。経営コンサルタントのビジネスモデルにつては次回のブログで紹介する。

私の場合は、基本コンサルティング契約とプロジェクト毎の個別契約の2段構えの構造で契約することが多い。基本コンサルティング契約は、目的や適用範囲、秘密保持その他の一般条項を定めた2~3年間の契約にして、個別契約で具体的な業務委託内容と期間、金額を決める。基本契約が有効な間は、個別契約を更新したり作り直すことで、継続してサービスを提供できる。基本契約は有効期限が切れる前に延長の交渉をする。

見積書、請求書、納品書

事務的な書類も事前に用意しておく。顧客番号の付け方や書類の番号のルールも決めておく。そして、自社のフォーマットを事前に作っておく。

ここまでは作業だけなので時間と労力さえかければ問題ないが、法改正にともなって次の2つに対応する必要がある。

・適格請求書保存方式

・改正電子帳簿保存法

これらについてはネット上に多くの解説記事があるので、まずはそちらを参照してもらいたい。

会計帳簿

事業をやるうえで、会計帳簿は必須だ。個人事業主で青色申告をする場合は、複式簿記の帳簿が求められる。自分の事業の会計帳簿をどうやって整備するかを事前にきめておく必要がある。会計ソフトを使うのが一般的だが、それでも多少の知識が必要なので、自分の経理に対する知識レベルに応じて勉強が必要だ。

今はクラウドベースの会計ソフトが主流で、AIで仕訳をしてくれるので、そういったシステムを上手に活用することを勧める。

銀行口座

個人事業主の場合は、個人名義の銀行口座をつかう。ただし、事業の資金や収益を管理するためには、生活費の口座とは別に事業用の口座を持つべきだろう。複数の銀行口座を持っているのなら、その中の一つを事業専用に割り当てる。

個人事業主には資本金という概念がないので、事業のお金と個人の生活費の区別が曖昧になりがちだ。事業用の口座を用意していても、そこからの出金は自由なので、帳簿の金額と口座の残高が全く一致しない。(これは普通に起こることだ。)これを整合を取るために、私はExcelを使って手作業で“現金出納帳”を作っている。その中で、“立て替え払い”と“事業口座からの支払い”そして“生活費の引出し”を記録することで、口座残高の整合を確認している。

バーチャルオフィス

今の時代、自宅の住所をネットにさらすのは危険なので、事業を始めるときは専用の住所を用意する必要がある。バーチャルオフィスは有力な選択肢の一つだ。もちろんシェアオフィスやコワーキングスペースなどの選択肢もあるが、個人事業主の住所として利用できるか、法人登記ができるかなどの条件を確認する必要がある。

バーチャルオフィスはサービス内容や条件がさまざまで、中には怪しいところも少なくないのが実情だ。よく調べて信用のおけるところを見つけることが重要になる。

事業に失敗する理由の一つに、“過剰すぎるオフィスを持つ”というのがある。立派なオフィスで社長椅子にすわる自分を夢見てはいけない。

クレジットカード決済

事業の内容によってはネットショップやクレジットカード決済を用意する必要がある。本格的にやる場合は、大手の決済代行サービスを使うのだが、システム開発が必要で初期費用が大きい。個別のビジネスにある程度カスタマイズして費用も安く抑えるなら、スモールビジネス向けの“ストアーズ”や”BASE”がよいだろう。

物販で大量の発送作業を伴う場合はアマゾンのFBAというサービスが便利だ。ただし手数料が高い。クレジットカード決済はアマゾンがやってくれて売上は銀行口座に入金される。あるいは“ココナラ”などのスキルマーケットを利用する選択肢もある。

社判

個人事業主の場合はあってもなくても良いが、法人にする場合は会社の実印が必要だ。一般的には実印・銀行印・角印をセットで作る。ネット販売の業者で1万円前後で作れる。会社を登記するときに必要なので、作るタイミングにも注意が必要だ。

ロゴマーク

ロゴマークはあってもなくても良いが、請求書や領収書そしてWebサイトに載せる事業名(屋号や会社名)の表記やフォント、色などは統一しておくことが望ましい。

名刺

とりあえずインクジェットプリンタで自作の名刺を20枚ほど作っておく。オンラインで受注できるビジネスであれば、名刺を使う機会はほとんどないが、ないと困ることもある。